訪問リハビリと一言で言っても、目的をどこに置くかによって治療も雲泥の差が生じます。
リハビリの目的は何なのか?
3ヶ月後、半年後、どのような状態になっていたいのか?
その「目的」をはっきりさせてリハビリをスタートしなければなりません。
また、患者様と療法士の間に、意識の差があってもよくありません。
話し合いの中で、お互いに目的を明確にしてから治療をスタートすることが大切ですね。
今回は、「アルク」の治療方針について書いていきたいと思います。
まず、患者様のお話を聞く
良い治療とは、患者様の話をよく聞くところからスタートします。
何に困っているのか?
訪問リハビリを受けてどうなりたいのか?
良くなった先の目的は何なのか?
などなど、お話を良くお聞きすることで、必要な動きやトレーニングが決定していきます。
しっかりお聞きすることで見えてくるものがあります。
痛みがある場合、痛みの箇所の特定
「ひざが痛いです」と言ってリハビリをご希望された方も、実際には腰が悪い場合がありました。
ひざに痛みはあるのですが、軽傷の範囲。そんなに悪くない。
それよりも、腰は「脊柱間狭窄症」の症状が出ていて、危険な状態でした。
すぐに治療を開始しないと足にしびれを生ずる可能性があるほど。
ということで、しっかりとお話を聞いた後には、専門の目で体の全体的な評価を行います。
患者様が実際に悪いと思っている部位と、我々が見た体の状態には、差がある可能性があるのです。
患者様のお話はしっかりお聞きした上で、しかし鵜呑みにはせず、何故そのような現象が起こっているのか?体をみて検証していきます。
「原因の追求」で、治療は必ず効果が上がります。
体力づくりも大切
訪問リハビリが必要な方は、体力も落ちている方が多いです。
そんな場合には、活動量をアップして、体力をつけるのも大切だと考えています。
しかし、体力が低下している場合には運動もあんまりできない方が多い。
そこで威力を発揮してくれるのが、「座ってできる体操」です。
座ってできる体操は、安全にできる上に、一生懸命やると結構疲れます。
さらに全身動かすことが効率的にできるので、訪問リハビリには非常に効果的なリハビリプログラムと言えます。
また、筋力強化のプログラムも盛り込むことで、関節痛の治療にもなります。
ワンランク上の動作獲得を目指して
寝ている状態が長い人には、ベッドの横に少しでも座れるように。
しっかり座れる人は、立ち上がって、立っていられるように。
つかまって立っていられる人は、手放しで立てるように。
手放しで立てる人は、歩けるように。
家の中を10m歩ける人は、家の中をもっと長く歩けるように。
家の中を長く歩ける人は、外に出て歩けるように。
外に出て歩ける人は、外を長く歩けるように。
外を長く歩ける人は、グランドゴルフや買い物など、活動を含めた野外活動ができるように。
野外活動が出来る人は、理想や夢を叶える活動を目指してリハビリを続けていく…
「現状維持」ができれば。と言われるお客様が多いのですが、「現状維持」は今できることをやっていては、叶いません。
ワンランク上の難しい動作を練習し続けることによって、やっと「現状を維持」できるのです。
魅力ある目的あってこそ、リハビリは活きる
在宅生活が続く訪問リハビリでは、目的を見失い、マンネリ化しがちです。
「いつも通りやっていきましょう。」
では、面白くありませんし、よくなるものもなりません。
目標は、ご本人にとって魅力的で輝かしいものでなければ、良い目標とは言えません。
小学生の頃、肥満体型の先生がいました。
その先生が、ある日突然、昼休みに一生懸命校庭を走りだしました。
来る日も来る日も、先生は校庭を走り続けます。
小学生たちが面白がって先生に質問します
「先生ー、何で毎日走ってるの?」
と聞きました。先生は、
「彼女が、痩せたら結婚してくれるって言ったから」
と、真面目に答えてくれました。
良い先生ですね。
その先生にとって痩せる目的がとても明確で魅力的だったからこそ、自主的に校庭のランニングを続けさせたのだと思います。
程なくして、その先生は無事にご結婚されました。
このような、魅力的な目標を一緒に見つけるのも、我々療法士の大切な仕事の一つだとかんがえています。
継続は力
訪問リハビリをスタートして、しばらくすると、
「だいぶ良くなったので、一旦やめてみます。」
と、言われる方がいらっしゃいます。
これは、ある意味自然なことだと思いますし、良い事と捉えたいのですが、やめて良い方向に行った方を私は知りません。
人間、1人ではなかなか続かないのが世の常なのかもしれません。
また悪くなってリハビリ再開となる経験がありました。
当然、年もとってますし、リハビリは再開しても以前のような経過にはならないものです。
という事で、頻度を減らしても良いので、続けていただいた方が絶対に良いと思います。
継続は力なりというのは本当です。
元気になり、その元気な状態を維持していくことが目標になって、その先の本当にやりたい事を実現していく、そこまで求めてやっていけたらと思います。
まとめ
「アルク」の治療方針を書いてきました。
歩ける、のその先へ。
納得いく人生のお手伝い。
目的を明確にして、治療効果を最大化するのが、よりよい治療だと考えています。
それにはまず、お客様のお話をよく聞くこと。
これが一番重要です。
その上で、丁寧にコミニュケーションを重ねながら治療を積んでいけたら、良い治療につながると信じています。
以上、「アルク」の治療方針でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。