施設への訪問リハビリを実施した実例です。
訪問看護ステーションの勤務時代に経験した実例です。
施設入居されている方も、身体機能や認知機能は様々。
私が受け持った患者様は、コミュニケーションを取ることができませんでしたが、熱心な子供さんのご希望でリハビリを実施しました。
お父さんの体を少しでも良い状態に維持してほしい。
C様 87歳 廃用症候群 週一回
訪問リハビリ当初から、お話はできない状況でした。
自発的な動きもできず、寝返りもできません。
いわゆる「寝たきりの状態」の患者様です。
ご依頼は、娘さんから、
「お父さんの体をできるだけ維持したい」との事でした。
親にはいつだって元気でいてほしいと思うのが子供の気持ちではないでしょうか。
私もそう思いますから。
娘さんのお気持ちはよく分かりました。
手足や腰、全身の関節を動かして柔らかく維持していく。
人は寝たきりと呼ばれる状態になると、手足の動く範囲がどんどん狭くなってしまいます。
そして、洋服を着替えたり、オムツを替えたりする事が大変になります。
介護する方も、介護される方も、苦痛を伴い大変になってしまうのです。
また、手や足が動かなくなってしまうと、体を洗う事も難しくなってしまいます。
そうなると、不潔になり皮膚状態の悪化にもつながります。
これが良くないわけです。
そうならないために、手足の関節可動域の維持は、快適に過ごすために必要不可欠なものと言えます。
リハビリの無い施設への訪問リハビリも可能です。
病院やステーションからの訪問リハビリや訪問看護などは、保険の枠の中で制限があります。
制度の内容も難しく、なかなか理解しにくい状況にあります。
「アルク」の訪問リハビリは自費サービスなので、保険の枠にとらわれません。
様々な施設にも、サービス提供可能です。
C様のリハビリ内容
自分で動くことができなくなってしまわれた方のリハビリは、主に2つのことを実施していきます。
関節の動きを良くする訓練と、座る訓練です。
関節可動域訓練
関節の動きを良くする訓練は、肩の動き、肘、手首、指等の腕の動きと、股関節、ひざ、足首、足の裏、足の指などの脚の動き。
そして、腰などの体幹、呼吸器の胸、そして首の動きを見ていきます。
主に腕と脚になりますが、体幹や胸の動きも重要なので、必要に応じて動かしていきます。
週に2回程の訓練で維持していけるような印象です。
週に3回できれば、確かに改善します。
座る訓練
寝たきりの状態というのは、人にとって良いものではありません。
血液を送る心臓の力が弱くなってしまいます。
寝ている状態では、心臓があまり頑張らなくても全身に血液がまわり、心臓に負荷がかからないからです。
人は重力を感じながら、地面に対して垂直に、座ったり立ったりしながら生活しています。
この、「重力に対して垂直になる」ことが人にとって重要です。
重力に対して垂直になると、筋肉を使います。
脊柱起立筋と呼ばれる筋群を使うのです。
それから、目が覚めます。
覚醒度合いが高まるのです。
それと、車椅子に座って移動することができるので、活動範囲が広くなるのです。
このように、寝たきりの状態の方でも、ベッドから起こして座る訓練をすることで、良い効果はたくさんあるのです。
このような形で、C様の訓練は続いていきました。
C様の訪問終了
C様は、娘さんがどうしても「リハビリのある施設入居を希望」されていました。
訪問リハビリ(訪問看護)では介護保険の枠内で限界があり、週一回の利用が限界でした。
関節可動域を維持していくには、週に一回では中々難しいとの判断もあったのだろうと思います。
介護現場の実際
介護保険施設で仕事をした経験もあります。
施設入居すると、その後の人生は長い方もいらっしゃれば短い方もいらっしゃいます。
入居後、20年ほどゆっくり暮らされる方もいらっしゃれば、入居後すぐに逝去されてしまう方も。
そこに、年齢はあまり関係ないように思います。
70代だから長く施設にお世話になるとか、90代だから短いとかはあまり関係ない様に感じます。
それでも、長い施設生活でも、短い施設生活でも、みんなの願いは同じ、
「苦しまずおだやかに、できれば楽しく過ごしてほしい」
という事かと思います。
そんな思いのお手伝いができたら、リハビリ職冥利に尽きます。
まとめ
C様の施設への訪問リハビリを記事にしてきました。
寝たきりの状態では、「改善」というよりは、「維持」のリハビリになってしまうので、効果が目に見えにくいという特徴があります。
それでも、
施設に入居中の方のリハビリは、何度か行きせていただきました。
熱烈にリハビリを希望される方もいらっしゃいます。
そんな、リハビリを希望される方に手が届くよう、頑張っていきたいと思います。