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腰痛の参加者29人が全員良くなった方法とは?【論文研究8】

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1992年発表の古い論文ですが、実証実験で全員が満足し、効果があった治療方法の報告である。

これは、腰痛の患者全員に知っておいてほしい、治療方法である。

目次

プールでの集団的水泳運動療法

29人の腰痛患者全員が、腰痛改善した方法が、プールの中で運動や水泳をする運動療法である。

この方法は、腰痛教室の形式で指導者がいて、そのもとで運動療法を行ったものである。

水泳が腰痛に良いようである、というのは昔から言われていたものだが、実際に実験検証したのはこの報告が初めてだった。

これまでも、腰痛で水泳を行う場合もあったが、かえって腰痛が強くなった。というような声もあり、科学的な検証が必要であった。

腰痛に水泳、と一言で言っても、平泳ぎなどの泳法を行えば、腰痛の前弯を強めてしまう結果にもなりかねず、正しい腰痛治療のための水泳運動療法を行う必要がある。

対象

男性15名、女性14名、年齢は18歳から55歳の平均35.7歳。

足のしびれなど神経症状の無い、筋・筋膜性の「いわゆる腰痛症」の患者を対象とした。

また、あらかじめメディカルチェックを行い、心血管系の合併症が無く安全に水泳ができることを確認している。

方法

腰痛教室の形式をとり、週1回の講義と週3回の水泳運動療法を実施した。

実施期間は5月〜10月の6ヶ月間、安全面を考えて10名ずつ行った。

水泳運動療法プログラム

1.陸上準備運動(3分間)

→手足の準備体操

2.水中運動療法

→a)ウォーミングアップ(15分間)

→→水中歩行

→→ビートウォーク

→→ジャンプ

→b)ストレッチング(15分間)

→→蹴り上げ運動

→→ふくらはぎストレッチング

→→臀筋ストレッチング

→→傍脊柱筋ストレッチング

3.水泳指導(15分間)

→バタ足

→クロール

→背泳

4.自由泳(15分間)

泳げない方に対しては、泳げるようになるまではストレッチングなどの水中運動のみを行わせた。

一回の水泳運動療法の時間は1時間とした。

結果

患者満足

患者の満足は全員に得られた。

その理由は、腰痛の消失・軽減、体力の向上・肥満改善、腰痛講義による腰痛予防法の習得などであった。

全員に体重減少がみられたが、特に肥満傾向のある患者では著明な体重減少が認められ、治療開始前80kgの女性で6ヶ月後に62kgに減少した症例もあった。

体脂肪率の減少も認められ、腰痛の原因の一つである肥満の改善が認められた。

基礎体力の向上も認められた。

左右非対称性の改善

左右の筋活動を腰部傍脊柱筋と臀筋に左右対象に6ヶ所表在電極を設置し、動作表面筋電図を陸上と水中で測定した。

治療前には、左右非対称性に筋活動を継続していたが、治療後には左右対称に筋活動を測定した。

水泳運動療法には、腰部周辺の筋活動を左右対象に近づける効果があると思われる。

考察

水泳を腰痛に対する運動療法に取り入れることが、なぜ良いかについては次のようなことが考えられる。

・水中では浮力により体重負荷が軽減し、運動しやすい状態になる

・水の抵抗により運動量は増加するため、腹筋、背筋などの筋力強化運動がより効果的

・水圧による呼吸、循環機能の亢進

・水温による除痛効果

従来の理学療法や治療より優れているかどうかは、研究の余地を残しているが、対象患者が全員従来の治療では、効果がなかった患者であることを考慮すると、このような良好な治療成績をあげられたことは注目に値する。

私見

私も腰痛患者である。

長い間、腰痛に悩まされている患者がかなりの数いる現状を考えれば、この水泳運動療法は、市民レベルへ落とし込むことが重要である。

「アルク」では、さつま町の温水プールと協力して、「腰痛治療スクール」を実現させていきたいと考えている。

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