筋の緊張の強い方は、臨床では結構な頻度でいらっしゃいます。
本当に緊張が強い方の、手足を動かすことは大変で、更衣や入浴など苦労します。
その緊張が緩められる可能性があるのが振動刺激です。
今回の論文は、筋緊張を緩める振動刺激について書かれた論文を紹介します。
麻痺肢への新たな振動刺激療法の機序と効果
https://scholar.google.co.jp/scholar?hl=ja&as_sdt=0%2C5&q=麻痺%E3%80%80振動刺激%E3%80%80野間知一&btnG=#d=gs_qabs&u=%23p%3Dbnltun23zZkJ
振動刺激による筋の抑制
振動刺激の生理学的効果は、振動刺激を100〜200Hzの周波数で骨格筋に与えると筋紡錘Iaの求心性興奮から被刺激筋に反射性の収縮が生じる。
同時に拮抗筋に相反支配による抑制効果が生じる緊張性振動反射が報告された。
また、同時期にH反射を用いた検討で振動刺激中には腱反射や伸張反射などの単シナプス反射が抑制されることが報告された。
つまり
振動刺激を筋肉に与えると、一時的には緊張感が増大するものの、しばらく振動刺激を与え続けると緊張は落ちるというもの。
数分でも効果はあるようですが、5分ほど振動刺激を与え続けると良いようです。
筋の緊張を落としたら
筋の緊張が関節の運動の邪魔をしていたりします。
その筋の緊張が落ちると、関節を動かしやすくなり、様々なリハビリにも取り組めるようになります。
なかなか筋の緊張は落ちづらく、苦労します。
それが、5分の振動刺激で筋緊張が落ち、楽に関節を動かせるようになるとなれば、これは劇的な変化です。
筋の緊張を落とした後に、随意運動などを組み合わせることによって、さらに持続的な筋緊張のコントロールができるようになる可能性を示唆してこの論文をは締めくくられています。
私見
筋の緊張を落とそうとマッサージなどで取り組むと、かなりの時間を要する。
その後の関節運動などのリハビリは、当然時間が少なくなり、充実したリハビリの提供は難しい。
それが、100Hzの振動刺激でわずか5分ほどで緊張が落ちるのであれば、今後のリハビリのスタンダードになるべきことだと思う。
しかし、実際の現場では生かされていないのが現状である。
研究現場と臨床現場の差が少しでも埋まり、どんどん新しい技術が現場に取り入れられていくことを望む。