腰痛は、ある種特殊な関節痛と言えます。
ひざに関して言えば、「すり減り」が主な理由です。
しかし、腰痛はすり減りが原因ではなく、「ズレ」が原因となっている場合が多いわけです。
では、腰痛のズレとは一体なんなのか、その事について考えてみたいと思います。
あくまでも、経験と持論に基づいておりますので、解釈が実際と異なる場合があることもご了承ください。
腰という上半身と下半身の繋ぎ目
腰は、にくづきに要という字を書きます。
人間の体の中心。まさに要ですね。
そして、この腰が痛くなると、あまりの痛みに全く動けなくなることがあります。
これが「腰痛」です。
その他にも、腰痛はさまざまな原因で起こります。
さまざまな原因で起こるのですが、結果的に見てみると背骨や体の「ズレ」が生じています。
原因①腹筋群の弱さが原因のズレ
腰痛の原因第一位と言っても過言ではない、原因が「腹筋群の弱さ」です。
腹筋はおなかの圧を高める効果があります。
便を排泄する時に圧を高めるのも、腹筋の役割です。
この腹筋が圧を高めることによって、背骨が前に飛び出してしまうのを予防します。
背骨を前から支えるのが腹筋群なのです。
腰が痛いと、背筋を鍛える方がいらっしゃいますが、これは良い方法ではありません。
腹筋と背筋のアンバランスが生じて腰のズレが生じるわけですから、まずは腹筋が重要になるわけです。
腹筋の圧を高める事で腰は安定します。
理由②背骨自体が硬くしなりがない
背骨を背中から軽く押してみると分かるのですが、子供たちの柔らかな背骨は押すと、くにゃりとしなります。
しかし、年齢を重ね背骨が硬くなると、一本の棒のようにしならず棒を押しているような感覚です。
このような硬い背骨になると、腰痛になりやすいようです。
腰痛だけでなく、首痛を持つ方も硬い背骨になっています。
要は、この「しなり」のある柔らかな背骨が、腰痛予防になります。
理由③仙腸関節の動きが無い
仙腸関節という聞き慣れない関節ですが、治療家の間では有名な関節です。
背骨の下の仙骨という骨盤の一部と、骨盤の両側に広がった骨が結合する部分を仙腸関節と呼びます。
骨盤内の関節です。
この骨盤内の仙腸関節、実は少しだけ動くのです。
この少しの動きのおかげで、足からの衝撃を逃す働きがあるとされています。
この仙腸関節、しばしば不具合というか痛みを生じたりもします。
腰痛と言われていて、実は仙腸関節痛だったりもするくらいです。
仙腸関節のその少しの動きが悪くなる事で腰痛を引き起こす場合もあります。
理由④丸くなった背中と動きの悪い肩甲骨
腰への負担を考えると、一般的に美しい姿勢と呼ばれる背筋の伸びた姿勢が、腰への負担が軽いと言われています。
逆に背中を丸めた姿勢で立っていれば、腰への負担は相当なものです。
その背中が丸くなっている姿勢が続くと、腰は、バランスを取ろうとしてズレてしまうのです。
姿勢というのは、意識することである程度改善することができます。
もちろん、人間の体も物理的にバランスを保ちながら存在していますので、上がズレれば下もズレます。
姿勢を良くしようとしても、肩甲骨の動きが悪くなっていると胸を張れません。
結果的に肩甲骨の動きの悪さが、腰への影響をじわじわと与え続けているのです。
理由⑤太ももの筋肉の硬さ
太ももの筋肉の硬さは、腰に直結していたりしますので、特に影響があります。
太ももの裏のハムストリングス。
太ももの前の大腿直筋。
足の付け根の前面の腸腰筋など。
大腿の筋群の硬さが、腰への影響を与えます。
大腿の筋が硬く縮んだ状態になると、立った時に膝が伸びなくなります。
膝が曲がった状態で立っていると、バランスを取るために背中は丸くなりやすくなります。
腰から近い太ももの筋をストレッチして緩めることは、腰に引っ張りの力を与える原因を除去すると考えて良いかと思います。
大腿の筋の硬さと、腰痛は密接な関わりがあることは間違いありません。
これらを総合的に考えて治療する
腰痛は、これらのことが絡み合って生じています。
どれか一つが原因で腰痛が生じている、というよりは5つ全てが原因で起こっていることの方が多いです。
それも、症状が重くなればなるほど、これら5つの状態も悪いです。
これら一つ一つを確認しながら、ストレッチやトレーニングに一緒に取り組むという形で治療を行います。
また、これらはセルフトレーニングでも和らげていくことが可能なので、今後の記事でご紹介していきたいと思います。
まとめ
腰痛の原因について書いてきました。
今回はメジャーな5つの原因について書いてきました。
が、これら5つがすべてではなく、細かく言えばさらにたくさんの原因があるのが腰痛です。
自力でのストレッチやトレーニングで、腰痛を解決するのは十分に可能です。
腰痛に悩む全ての人に、腰痛で悩む時間を少なくしてほしいと願っています。
まずは、肩甲骨周辺のストレッチと、大腿筋群のストレッチ、そして腹筋強化をスタートしてみませんか?
継続は力なりです。