訪問リハビリでは、しばしば「家から出る練習」をすることがあります。
家から出る練習というと、そんなに難しいイメージはないかもしれませんが、体の障害が重ければ重いほど、家から外に出ることが大変です。
玄関の段差。
靴を履くこと。
庭先に大きな段差がある。
急傾斜を降りないと車に乗れない。等等…
最悪の場合、誰かにおんぶしてもらって外に出る場合もあるでしょうが、体の大きな方であれば難しいでしょう。
自力で歩いて外に出られること。
この力は在宅生活を続ける上で重要な能力の一つです。
外に出る事はできますか?
Y様 女性 両変形性ひざ関節症 89歳 週2回
肥満型の女性の方に多い疾患で、変形性ひざ関節症という、ひざの痛みを伴う疾患があります。
高齢女性が「ひざが痛い」と言われる方は、ほぼこの疾患と言って間違い無いでしょう。
ひざが痛いと大変です。
歩くことが難しくなります。
また、肥満体型であれば、体重がテキメンにひざにかかるため、体重は1キロでも少ない方が良いです。
このY様は、ひざが痛くてあまり歩けません。
シルバーカーと呼ばれる押し車を押して、やっと10mほど歩くことができます。
しかし、ひざが痛い時などは、ほとんど歩けなくなってしまうので、外に出る時などは大変です。
外には手すりをずっと備え付けてあり、それをつかみながら歩くことができます。
ひざの痛みと付き合いながら、外に出る練習をすることにしました。
環境整備と繰り返し練習
外は家の中に比べてボコボコ段差があり、転ぶリスクが高まります。
また、純粋に歩きにくいものです。
必要な場所に必要なものがあり、また余計なものが置いてないか?
整理整頓も重要な環境整備です。
そして、環境が整ったら、その場所で繰り返し練習することが必要です。
繰り返し練習することで、気をつける点を把握し、段差を乗り越えるコツを理解します。
Y様は高齢ですが頭が良く、上手に生活を工夫されて営まれていました。
下り坂道カーブの玄関前
玄関に上がる前に、急傾斜だったり階段だったり、出るのが大変な家があります。
Y様の家は玄関を出ると、下り坂道カーブで、結構大変です。
私たちが行き来するのは何でもありませんが、Y様が出るには、それはそれは慎重に出なければなりません。
それをY様、手すりをつかんで横歩きを上手にすることができました。
こんな風にして歩いて出ている。
という風に教えてくださいました。
縁側から出ると車のすぐ近くに出られる
お行儀が良いかどうかわかりませんが、玄関を使わず、縁側から出る事で、簡単に車の前に出ることができる場合もあります。
要は、外出しやすさが重要で、外出できればいい。
Y様は結局、縁側から出入りすることで、外出するのを簡単にできるようになりました。
まとめ
家から出る練習をした経験を記事にしてみました。
意外と非効率な形で外出していたりすることもあります。
私はアドバイスはできますが、実際に生活される患者様のご希望を曲げるわけにはいきません。
必ず玄関を出入り口にしたい。という方に、縁側から出入りしましょうとは言いませんが、この方が楽ではありませんか?
という提案をする形で、生活スタイルにアドバイスしたりします。
Y様は、縁側から出入りすることで、出てすぐに車に乗れる環境になりました。
また、縁側から出入りしやすいように、踏み台等環境整備も行いました。
その上で、出入りする練習もしました。
在宅生活を考える上で、どうやって外に出るか?を考える事も大切な生活の一つです。
在宅生活の一面を考えた例でした。